幽霊と結婚詐欺!?とある男女の冥婚事情

霊的な存在との恋愛はどこかドラマチックに思う人もいるかもしれません。
多くの場合には霊的な存在のほうが強く、人は被害を受ける側というイメージを持つ人もいるでしょう。
今回はそのイメージが少しだけ変わるお話を、台湾で修行中の千鶴さんから聞かせていただけました。

こんにちは~最近台湾はどう?

千鶴さん

天候が安定しないですね~それ以外は割と問題は少ないかもしれないです

なんだかひどい話があったとか

千鶴さん

そうなんですよ。結婚詐欺というか……冥婚とは別なんですが霊的な人との結婚詐欺というか

すでに情報が錯綜していますね……

千鶴さん

まあ、なんというか……この詐欺師の男がひどい男でしてね……私もですが先生のほうが相当に怒ってしまって。今回は先生が見放していいとか言い出すくらいだったというか

千鶴さんの先生って確かすごく情が深い方では……そう簡単に見放さないというか切り捨てないというか

千鶴さん

そうです。なので家の人たちもある程度の自由があるんですよ。その先生が“もう向こうに連れて行ってもらえ”っていうくらいで……なんというか、あまりいい終わり方ではないのかもしれませんが、うん、これは仕方ないかなあって……

詳しく聞かせていただけますか?

千鶴さん

はい

結婚詐欺というのはどういうことだったんですかね?

千鶴さん

なんというか、最初は普通の恋愛だったんですよ。霊的な人の力が結構強くて、しっかりとした姿として見えることや相手に対してすごく優しい気持ちを持っていて、あちらの世界に連れて行きたいとかは全くなかったんですよ。逆に、いつかこの人の前から消えなければいけないことがさみしいと思うほどだったんです。本当に強い能力で街を普通に歩いて行けるのと、相手に触れることもできる。これは結構稀なんですよ。ここまで強くて悪意を持たない霊的な存在。神職につかれていた方だったらしく、もう少しだけ世界を見つめてから自分で旅立とうと考えていたみたいですね。話した感じも凄く良い人ですし、こんないい人がこんな男に、と思いましたね。依頼をしてきたのは男のほうなんですけども

だと、結構こじれた状態だったんですか?

千鶴さん

こじれたというか……やっぱり相手は霊的な人なので融合してる部分が出てきてしまって。ただ、男のほうもどうも相手が人間じゃないのはわかってた部分があるんですよ。なので、縁を切りたいということで依頼が来た感じなんですが……

結婚詐欺だったんですね……

千鶴さん

なんというかねえ……先にちょっと男性の話をさせてもらうことになるんですが……この霊的な女性をAさんとしますね。Aさんをまずナンパしたんですよ

ナンパできるほど実態として見えていたんですかね

千鶴さん

この男も霊感とかがあるほうだったんですよね。なので、人ではないという部分はある程度理解してて、その上でAさんをだましたというか。Aさんも神職系だったからものすごく純粋なところがあるんですよね

なんとなくわかりますねえ……現代に対応してとしても、時代が前であればどうしても純朴というか……

千鶴さん

そうなんですよ、そこなんですよ。で、好意的によってくればそういう性質の方だから自分の力で何とかなればって考えてしまうんですよね。ナンパで声をかけて近づいていく。これだけの力のある人だと、いるだけで運気が爆上がりするんですよ。今まで無事だったのも石塔とかに入ったりすることが多かったらしく、それで無事だったんですよね。いろんな偶然が重なって無事だったんですがそれゆえに悪い男に引っかかってしまったというか。霊能者ではなく霊能者くずれなので、こういう霊的な方がどうすれば喜ぶかも知ってるのが許せないというか

男性はとても駄目な人だったんですね

千鶴さん

完全にインチキではないんですけども、やってることがほぼ詐欺というか。ただ、霊能力が少しあるから騙される人は騙されるんですよ。なので私も先生もまずそこが嫌だったんですよ

なまじ少しできるから騙しやすいから騙すっていうのはよくないですね……私もちょっと好きになれないかなあ……

千鶴さん

そうですよね! それで、さも人に接するようにすごく優しいんですよ。むかつくのが見た目も少しいいんですよ。私の好みではないけども、顔はいいからやっぱり騙されやすいっていうか……

それは怖いですね……

千鶴さん

最初の段階ではまだ詐欺とかは聞いてなくて、Aさんが人間ではないことが分かったから縁を切り、成仏させてほしいってことだったんですよ

Aさん→元々神職系に就いていて今は霊的な人(女性)

そこだけ見るとよくある話ですよね

千鶴さん

です。なので一応、一回目の対面はこちらの家で行ったんですよ。うちの人たちも見れるからどんな反応をするのも気になったんで

霊能力があるなら千鶴さんのおうちの人もみえるはずですものね

千鶴さん

今回は極力見えないようにはしてもらいました。でも、ある程度しっかりと訓練や修行を積んでる人だったら見えるというか感じるものはあるので……そこの見極めもできるかと思ったんです

それでおうちに呼んだんですね

千鶴さん

先生に言われて家の周りにもお香を焚いて、外部をカットするようにもしました。その中でどこまで対応できるか。あとは……Aさんのエネルギー補給も兼ねました。一時的にその男から吸収はできてるんですけども霊体そのものに害のないものをって先生も考えてくれて

で、二人で来た感じだったんですか?

千鶴さん

ですです。Aさんはすごい気まずそうにしてて。先生を見れば退魔関連の人だってわかりますからね。逆に家の猫(霊的な猫)がくっついたりして緊張をほぐしてたみたいでしたけど……で、Aさんは男に聞こえないようにこっちに話をしてくるんですよ。その内容がもう本当にひどくて……途中から先生の顔が能面から鬼の面のようになっていったというか……あんな怖い先生見たの久々で私も家の人たちも顔面蒼白になってしまって……

Aさんは千鶴さんたちになんと伝えたんですか?

千鶴さん

男女の仲になり、結婚の約束もしてくれたから信じたい。それでも私はそう長くこの世にとどまることはできないからその際には、彼に自分の持つ気運を渡して幸せになってほしい、と

いやいや……あやややや……それは冥婚ではないのですか?

千鶴さん

スタンダードな冥婚です。むしろこれが本来のものです。なので、男は簡単に済ませたつもりなんでしょうけども契約が成立しちゃってるんです。つまりAさんはきちんとした妻であり、冥婚は成立してるので解除のためにはきちんとした手段を取らなければAさんが消えても男とAさんは結婚したままの状態になります。この状態で男が今度は普通の女性と結婚しても幸せにはなれません。問題はこの時の災厄は男ではなく奥さんになる人にかかってしまうんですよ。それを防ぐためにも何とかしなければいけないというか

聞くだけですでに面倒な感じがするのと、そんな簡単に結婚というか

千鶴さん

男としてはドラマの真似でしょう。針金で作った指輪をAさんに渡してこれで夫婦だねって言ってAさんの心をつかんだつもりなんですよ。でもこれは、行者から死者に対しての冥婚の儀であり、契約が成立してしまったんです。Aさんが断るまもなく、指輪はAさんの指に入ってしまった。つまり、冥婚としての夫婦関係が成立した。加えて男女の中であれば、どうやっても言い訳はできない

それは……とても面倒ですね……

千鶴さん

男は軽い感じで、相手が霊的な存在だから縁を切りたい、と

先生は何と?

千鶴さん

先生は一言“あなた方の冥婚は成立しています。諦めてください”と

そうなりますよね

千鶴さん

“諦めて共に冥府に向かうのもいいと思います。彼女はあなたのことを心から愛しています。よかったですね、実によいご夫婦だ。この先はあなたも彼女と添い遂げるなら長生きは考えられないのはわかっているでしょう?”と淡々と

たしかに、寿命とかは減らされていくイメージ

千鶴さん

霊能力がどんどん減っていってたんですよ。元々の霊力がそういうマイナス効果をブロックしてたんですが修行もしてないならそれはあくまで有限になります。本人もそれをなんとなく感じたから来たんでしょう、依頼に。本来見えないものが見え始めた。それもよくないものが。Aさんが消えてしまったら加護は全部なくなってしまう

なんとなく、方々に詰んでいるように思えるんですが

千鶴さん

この冥婚有り無しに拘わらず、Aさんは期限が来たら消えてしまう方を選んでいたんです。その状態でこの世に縛る契約が生まれてしまったことで成仏できにくいというか。しかも、Aさんもこの男のことが好きなんですよね。残留すればするほど、悪いものにも狙われやすいんです。どっちにも悪いというか……まず初日ではどうにもならないので一度帰ってもらって先生と話を決めていくことになったんです

すでにもうこの男性はダメなのではないでしょうか?

千鶴さん

あたりまえですがもうだめですね。そもそも、霊能力で詐欺をしてるってこと自体がこちらの業種ではだめなことなのでかばう人はいません。先生も“Aさんの希望をかなえてあげたいのはやまやまだけども……もういっそ向こうに一緒に連れて行ってもらうコースにしようか。それでも特に問題はないと思うし”って。家の人たちも“自分に運を持ってきてくれる、その上いい女で遊ぶにはもってこいとか言ってるな”って言ってて。これはもう本当に一緒に埋葬してしまえればいいかと思ったんですよね

しかし、Aさんは自分で自由に動けるんですね

千鶴さん

神様に一生をささげた対価でしょうね。私たちが考えたのはまず冥婚の解消、男への何らかの懲罰、Aさんの成仏、でした。冥婚の解消は男が納得しなければ難しいかなあっては考えてたんです。Aさんがそばにいることで詐欺をするにも霊能力がアップしてるからいろんな効果を見せやすくて。それも腹立たしいんですよね

なるほど……頃合いを見てAさんを捨てても食っていけるように仕掛けているってことですよね?最低な男ですねえ……

千鶴さん

で、先生とあれこれ話して寝ようかと思ったらAさんが来たんですよ

本当に自由に動けますね……

千鶴さん

なので、先生にもちょっと起きていただいてAさんと三人で話をしたんです。Aさんがどうしたいのかも含めて決めてしまえればいいかなって思って

どうなったんですか?

千鶴さん

Aさんが言うには、すごく良くしてもらえて寂しいという気持ちも忘れる事ができた。誰かと過ごす事がこんなに楽しいとは思わなかったって言うんですよ。どうも最初のうちは本当に大事にされてたらしく、一緒に出掛けたり、いろんな話をしたり、生きてるうちには叶わなかった愛や恋を知った、と。すごくいたたまれない気持ちになってしまって……

途中でAさんの力がすごく便利で強いって解ってから利用する方向に行ってしまったんでしょうかね……

千鶴さん

そこが何とも言えないんですよね。元々人と違う自分が大好きで、Aさんと付き合い始めた時もその部分もあったと思うんですよ。Aさんは「髪の毛一本でもいただければ、寂しくなく向こうにいけます」っていうんですよ。普通なら相手ごと持っていきたいって言うんですよ。なので、髪の毛よりは多めに渡せるようにしたいって先生と話になって

はい

千鶴さん

Aさんがいた事を忘れないようにもしたいって話にもなって

すぐに忘れそうな男ですよね

千鶴さん

よくあるのだと体に痣をつけていくやつですね。消えない傷みたいのとか。マーキングとかにもなりますけども、Aさんクラスなら傷ならしっかりと痛みを感じる状態で痛みを持続させることもできますからね。Aさんにその気持ちがないのが残念だったんですが、先生も家の人にならないか?って仰ってて……

家の人になればわりと自由派ある状態で残れる感じですものね

千鶴さん

でもAさんの願いはとどまる事じゃなくて・・・ こちらとしては、Aさんには騙されている事を知って欲しくて先生と家の人とで説得しました。騙されてる事をAさんに理解させるまでも大変でしたが騙されてた事を理解したらその日は帰って行かれて・・・

うーん……Aさんも凄いショックだっただろうに

千鶴さん

翌日の夜にまた来たんですよ。それで、やっぱり好きな人だから生きていてほしい。でも、できれば自分のことは忘れないでほしい。本当はすごく優しいし、大好きだと。世間と隔絶されてると弊害が出るなあと思いましたね……

どうなってしまうんだろう……

千鶴さん

Aさんが向こうに行くにしても霊力はいるので、それはこの男から持っていく事にしました。これでほとんど使い物にならなくなるはずなので…ただ、見える、聞こえるだけで執拗にそういうものに狙われるのは嫌なものですからねえ

怖い話ですね……

千鶴さん

本来の実力ではないですからね。修行も積んでない。普通の生活ができないくらいには見えるって本当に嫌ですよ。私がそうでしたから

先生はどう考えてたんですか?

千鶴さん

“遠慮することなく寿命も運も減ってきてるんだからもっていっていい“が先生は一貫してて。冥婚っていうものはそういうものだから覚悟を持ってるんだろうってことなんですけども……あれは相手からではなく自分からやってしまった冥婚なので対価も大きくなるんです。一般的な封筒を拾った、であればこれは自分が望むものではない。でも、今回は彼からAさんに自分で望んだ形になってるんです。なので、普通の冥婚よりも契約が重い……

※台湾の風習で赤い封筒が路上に落ちておりそこには亡くなった人の写真や髪の毛を入れて拾った人と結婚させる風習があるそうです

寿命もやっぱり減ってるんですか?

千鶴さん

どんなにいい存在であっても霊的な人とそうやって肌を重ねていれば減りますよ。まして、結婚もしてるんですから。本来はない負担があるんです。なので私たちは家の人とは一線を引いている。彼は寿命もですが霊力も減ってましたね

千鶴さんも常に、線引きは大事って言ってますものね

千鶴さん

それで、もう一度今度は男にだけ話を聞いたんです

はい

千鶴さん

それで、男としてはもう先生が透視してるのを理解したので「死にたくはないので成仏させてほしい」「できれば魂の一部をもらって今後使えるようにしたい」「恋人のできなかった女に夢を見せたんだからそれくらい請求してもいいだろう」って

すぐに埋めよう。海に

千鶴さん

私もキレそうになって。先生も“諦めてしねばいい。心をそうやってもてあそんだ。短時間の豪遊はもうできただろう?この世に未練などあるはずもないだろうおまえ”って言ったんですよ……これはもうどうにもならないです。それでも死にたくないといったので、先生が“じゃあ、お前の体の一部をもらうよ。命よりは安いだろう?”って

パーツによっては非常にまずいのでは

千鶴さん

あとは霊媒師としても先生は許せなかったんだと思います。で、死ぬよりはいいだろ、って任意でパーツをもらうというかAさんの夫である印をつけることになったんです

ええと、部分的に霊的な世界に入ってる感じですか?

千鶴さん

霊的な人の夫ですよ、ってくらいですからね。それだけでも十分きついと思いますよ

で、除霊という形になったんですか?

千鶴さん

です。Aさんに来てもらって、除霊用の部屋に入ってもらって。そこでAさんと少しだけ話を先生がしたんですよ。その時にAさんが真っ赤になったり、すこしだけ嬉しそうだったりはしたんですが……

千鶴さん

で、その日はAさんの除霊というか。Aさんを男から離して見えないようにして、一晩だけうちに置いたんですよ

高度な技術な気がします

千鶴さん

ですね。先生がAさんとゆっくりと話をして“伴侶はいたほうがいいだろう?断片で作ったから同じではないが、基本性能は同じだ。向こうでゆっくりと暮らせばいい”ってAさんの思念とかからあの男と違う何かを混ぜて冥婚に使う人型のもっと上級な……霊体で作った冥婚相手というか。厳密には魂はちょっとしか入ってないんですけども。先生の溜飲が下がるなら私はよかったかなと思い、その日はAさんを送って休んだんです。で、翌日に先生のお手伝いをしながら話を聞いたんですが

はい

千鶴さん

先生が“まあ、一生人前では服は脱げないだろうし、男性にとっては非常に大変な事態になるとは思う。そもそも、陰陽どっちもとなればそこ一か所くらいになるからね。今頃、がっちりとついた握痕で震えてるんじゃないかねえ”っていうんですよ

それってつまり

千鶴さん

夫婦ですからね。籍は抜いてないんですよ。先生はあくまでAさんの成仏を請け負った。冥婚の解消はされていない。つまり彼は心身ともに今後人間の女性と一緒になることはできないんですよ。しかも、冥婚している状態なので霊的な存在からは自分たちの姿が見える、聞こえる、頼れる、の状態です。何とかしようにもAさんはもういない。自分でこれを解除するのは不可能ですね

想像するととても怖いのですが

千鶴さん

数日してこちらを訪問してきたんですが先生は“依頼は終わらせた。内容も説明したとおりだ。命があるだけいいだろう?”って帰してました。命はあるけども、生きていくには常に見たくないものを見ながら生きていく。それが嫌ならどこかで修行を積むしかない。修行も人によってはかなりしんどいんですよね。私は先生の方針であまり危ないものは今のところ触ってないですが、それでも結果的に亡くなってしまう人や、悲しい気持ちを人は勿論ですが霊的な存在の方かから感じる事もあります。それを繰り返していくのは辛いですよね……ただ、それで誰かと霊的な何かがすこしでもいい方向に行けるなら、って考えるようになれないときついと思います

千鶴さんは見える人からだいぶ進んだと私は思ってます

千鶴さん

まだまだひよっこですよ。先生や先生の友人のように即座の判断はできないし、先生や家の人の助言を受けながらです。そういう生活ができる人ではないでしょうからね……どんな仕事をしても常に霊的な物がこっちを見ている。嫌だと思いますよ。ましてAさんとはまったくちがう人の形をとどめていないものとかもですから

…………………

千鶴さん

霊媒師は霊の願いも聞くこともあります。その際にも対価は頂いてます。今回Aさんが先生に置いて行ったのはAさんのかけらです。その代わりに指輪は外さずに旅立ちました。霊媒師は公平でなければいけません。そのバランスを先生はここ、と定めてこの結果を作った。私にはまだまだできないなあって。あとは彼が帰った後に先生は家の周りにお香と砂を混ぜたものをまいてましたね。“ひどいにおいがする”“獣の腐った臭いがする”って。すでにもうなんか大変みたいですけども、そっからさきはまた別契約ですからね

人の心を踏んではいけないですね……

千鶴さん

ですねえ……その日の夜は珍しくピザとか食べたいと先生が言ってたので機嫌はよかったんですよ。好きなお店のピザを食べながら嵐の配信みてました(笑)

でも先生はやっぱり先生で可愛いですね(笑)

千鶴さん

いたずらに冥婚を自分からしちゃいけないってやつですね。遊び半分で亡くなった人に対して求婚は駄目ですわ。ここまでになることは少なくとも、いいことは一つも起きないですからね

なかなかヘビーな話でしたがありがとうございました。またいろいろと聞かせてください

千鶴さん

はい。またお話ししましょう

お疲れさまでした